120色の色鉛筆画像を印刷して作る簡単モザイクアート

完成形の紹介

　㉑高校文化祭向けモザイクアートを色鉛筆で作るではデジカメまとめてフォトモザイクとエクセルを使用して、色鉛筆でエクセル表を塗り潰して作るモザイクアートの作り方を紹介しました。 この方法は高校などの文化祭展示として人気があるようですが、作業が大変で簡単に作ることはできません。それがよいのだという考え方もありますが、もっと短時間で簡単に作りたいという要望もあるでしょう。

　このページでは㉑とよく似た方法でモザイクアートを作りますが、一コマ一コマを色鉛筆で塗る作業は行いません。画像データを印刷することで簡単に巨大モザイクアートを作る方法を紹介します。

　完成形は下図の通りです。今回は2パターン作りました。最初に作ったのか下図なのですが、一コマが小さすぎたかなと思います。

　拡大してみると下図のようにモザイクアートになっています。しかし一コマのサイズが小さすぎて、一コマ一コマを色鉛筆で塗り潰していることは分かりません。

作業の流れ

　㉑とよく似た方法になりますが、色鉛筆でエクセルの表を塗り潰す作業はありません。 作業の流れを下表にまとめておきます。

　㉑と大きく異なるのは、

画材の準備

　前回の㉑で使用した色鉛筆の残りを使用します。12色です。

色鉛筆の単色画像を作成、単色画像の切り出し

　エクセルで下図のシートを作ります。A列に色鉛筆の色名を記載し、1行目に1～10の数字を書き込み、セルを正方形にして罫線で囲みます。下図はシートの一部分だけを表示しています。下図のクリックで全体が表示されます。

　これを印刷します。印刷する用紙は好みですが、今回はキャノンのインクジェット用用紙の「高品位専用紙」としました。インクジェット用の用紙を使用することで、色鉛筆の発色がよくなり塗りやすいと思います。

　印刷したエクセルシートを色鉛筆で塗ってスキャンして下図の画像を作りました。JPEG形式の画像です。左端が淡い色、右端が濃い色となるように塗りました。全12色の色鉛筆で10段階の濃度差を付けたということです。

　この画像をペイントで開きます。画像ファイルを選択して右クリックメニューから「プログラムから開く」「ペイント」とします。

　ペイントで開いた画像から範囲を指定して、1色毎に切り抜いていきます。下図の例では「ももいろ」の一番淡い色を選択しています。 ペイントの左上の「選択した部分」と書かれている点線の四角形をクリックします。下図の赤い四角形で囲んだボタンです。切り抜きたい範囲をマウスドラッグして範囲を指定します。キーボードのshiftキーを押しながらドラッグすると正方形に選択できます。

　その後、下図の青い四角形で囲んだボタンをクリックすることで選択範囲を切り抜くことができます。

　選択範囲を切り抜くことができました。

　「名前を付けて保存」「JPEG画像」とします。今作っているのはデジカメまとめてフォトモザイクのコマ画像です。デジカメまとめてフォトモザイクのコマ画像はJPEG画像にしか対応していません。

　以上の操作で下図の画像が出来ました。

　この操作を繰り返して120色の画像を作るのですが、下図の赤い四角形のボタンをクリックすることで元に戻すことができます。 切り抜き、保存、元に戻すを繰り返すことで効率的に作業することができます。 ここで作成する120個の画像サイズは同じでなくても構いません。今回は、なるべく同じぐらいのサイズの正方形にしました。

　下図のように各色10パターンの画像ファイルを作成しました。ファイル名は「色名＋濃度を示す10段階の数値」としました。

背景画像の準備

　この写真を使用します。JPEG形式の画像ファイルであればイラストのような画像でも大丈夫です。

フォトモザイクを作成

　デジカメまとめてフォトモザイクを起動します。

　「背景画像を開く」としてモザイクアートの背景となる画像を選択して開きます。JPEG形式の画像ファイルに対応しています。

　「コマ画像リストにフォルダを追加」とします。

　色鉛筆の画像を保存したフォルダを指定します。

　左端のリストに色鉛筆の画像が120個追加されました。

　「設定」とします。

　「フォトモザイク画像サイズ」の長編を10000とします。「一コマの画像サイズ」を10とします。この設定がコマ数を最大にできる設定で、総コマ数は666000コマです。

　「色補正」の「背景画像を補正する」をチェックし、数値を設定します。このページでは50とします。この数値によって出来上がるモザイクアートの印象がかなり変わりますから色々試してみてください。 「コマ画像を補正する」と「背景画像を透過する」はチェックしません。これらの設定は写真を並べて作るモザイクアートの場合に設定する項目です。

　「誤差拡散の係数」を「操作方向に偏重」とします。この設定はこれにしないとダメというわけではないので色々試してみてください。 「誤差拡散の効果」は100でやってみます。これは恐らくうまくいかないのですが、失敗例を示しておかないと設定方法を説明できないので、まずは100でやってみます。

　「作成（高画質モード）」とします。

　処理が開始されます。処理中もマウスの操作を受け付けますから、右クリックメニューから「等倍で表示」として画像を確認してみます。

　モザイクアートになっていることが確認できます。この時点で出来栄えが気に入らなければ「中止」ボタンを押すことで元の状態に戻ります。

　表示倍率を元に戻して確認すると、服の白い部分がピンクになってしまっています。これは気に入りません。「中止」ボタンを押して設定をやり直そうと思います。

　「中止」ボタンを押すと元に戻りますから、再び「設定」とします。

　「誤差拡散の効果」を80に変更します。先程までは100でした。白い部分がピンクになってしまうなどの異常が見られた場合は「誤差拡散の効果」を少し小さくするとうまくいきます。

　再び「作成（高画質モード）」とします。

　モザイクアートの処理は下から順に実行されます。一番上までモザイクアート化が終了した後でかなり待たされます。分割コマ数が多いと、最後の計算に時間が掛かるためです。今回はコマ数を最大ににする設定で、総コマ数は666000コマでやっていますから、30分ぐらい掛かると思います。

　「完了」と表示されたら完成です。

　目のあたりを等倍で表示してみると下図の通りです。他の場所も確認し、違和感がないようなのでこれでいいことにします。

　「ファイル」「フォトモザイクを保存」としファイルを保存します。

　保存後に下図のメッセージが表示されますが、これは問題ありません。ミックスタイプフォトモザイクに関連するファイルが保存されなかったと言っているのですが、 今回はミックスタイプフォトモザイクは関係がありません。ミックスタイプフォトモザイクとは背景となる写真の輪郭部分と背景部分とで一コマの大きさを変動させたフォトモザイクです。 ミックスタイプフォトモザイクについて気になる方はこちらを参照してください。

　ここまでで完成したモザイクアートを下図に示します。一見すると写真のように見えますが、これは色鉛筆の画像を組み合わせて作ったモザイクアートです。画像のクリックで拡大表示できますから確認してみてください。 しかし、これはまだ完成形ではありません。解像度が足りません。今回のモザイクアートは幅３ｍ、高さ２ｍに印刷しようと思います。それには解像度が足らないのです。次の章ではコマ画像を保存し、モザイクアートポスター工房を使用して解像度を上げていきます。

コマ画像の保存

　本章ではコマ画像を保存するのですが、コマ画像を保存するハードディスクまたはSSDについて一点注意事項があります。 ファイルシステムはNTFSのものを使用してください。本章では666,000個のファイルを保存します。 NTFS意外のファイルシステムでは1ファイルの最小値が大きいようで、666,000個のファイルを保存すると、膨大な容量ロスが生じます。 それから、モザイクアートポスター工房の処理で不具合が発生する可能性がありますので、コマ画像の保存はNTFSのディスクに行ってください。

　PCに内蔵のハードディスクやSSDはNTFSになっていると思います。外付けのディスクはNTFSでないものが多いです。（FAT32,exFATなどがあります。これらは使用しないでください。） ファイルシステムは、ディスクのアイコンを右クリックしプロパティウィンドウを表示して確認してください。

　前章まででモザイクアートを作ることができました。しかし色鉛筆で作ったコマ画像は小さく縮小されて、モザイクアートの中に配置されています。 これでは何が何だか分かりませんから本章ではモザイクアートの解像度を上げるために、コマ画像を元の大きさで保存します。元の大きさというのは、モザイクアートの中に配置される前の大きさ、前もって準備しておいた大きさです。

　「コマ画像を自動保存」「全コマを補正して自動保存」とします。今回保存するコマ画像は６６万６千個です。一気に保存すると問題が起こるかもしれませんが、それはその時に考えます。「やってまえーっ！」てことでやってしまいます。 皆さんは事前に「一行ごとに補正して自動保存」とするなどして保存に要する時間とファイル容量を確認した後に、「指定範囲を補正して自動保存」とし、少しづつ保存を進めるようにしてください。

　その結果、以下のようになりました。 「000」フォルダーから、

「415」フォルダーまではうまくいきました。しかし「416」フォルダーを保存している途中で止まってしまいました。

　「000」フォルダーには1000個のファイルが保存されていますが、

　「416」フォルダーには259個のファイルしか保存されていません。

　コマ画像を保存しているフォルダーのプロパティを確認すると、容量は12.7GB、ファイル数416,259、フォルダー数417です。
　本来は、ファイル数666,000、フォルダー数666になるはずなのですが、コマ画像の保存処理が途中で止まってしまいました。 デジカメまとめてフォトモザイクも閉じてしまっています。ずっと見ていたわけではないので何が起こったのかは分かりませんが何かの異常が起こった様です。

　フォトモザイクの作成からやり直さねばなりません。同じ設定でやらないといけないので、設定値は覚えておいてください。 設定ウィンドウの左下に設定値を保存するボタンがありますから、そちらを活用していただいてもよいでしょう。

　なんやかんやでフォトモザイクを作り直しまして、コマ画像を保存します。
　今回は「コマ画像を自動保存」「指定範囲を補正して自動保存」とします。

　前回のコマ画像の保存が416行の途中で止まっていました。今回は「416」から最終行の「665」までとします。

　保存先のフォルダーは新規に作り直しました。前回と同じフォルダーに保存しても問題ないかもしれませんが念のための処置です。

　保存先のフォルダーを開いてみると一行毎にフォルダーが作成され、コマ画像が保存されていく様子が確認できます。

　2時間30分ぐらいかかりましたが最後の「665」行まで保存することができました。

　全てのコマ画像を一つのフォルダーにまとめて、フォルダーのプロパティを確認すると、ファイル数は666,000、フォルダー数は1000です。 一つのフォルダーに一行分のコマ画像が保存されているのですから、一行あたり1000画像で666行となります。フォトモザイクの設定と合致しています。

　モザイクアートポスター工房を起動します。「フォトモザイク画像を開く」「コマ画像リストを開く」とします。 デジカメまとめてフォトモザイクで保存したフォトモザイク画像と、コマ画像を保存したフォルダーを開いてください。 フォトモザイク画像の方はすぐに開きますが、コマ画像リストの方はファイル数が多いので時間がかかります。開くのに10分以上掛かりました。

　下図のように設定しました。一コマを3mmぐらいで印刷するとして、A4用紙に、幅方向63コマ、高さ方向92コマとしました。 印刷時の余白サイズによって変わってくるのですが、大体一コマを3mm四方で印刷するとすると、幅方向189mm、高さ方向276mmの印刷になります。ちなみに右下の画像の赤枠のように分割して保存されます。この分割の一枚一枚をA4用紙に印刷します。

　「編集」「全範囲実行」とします。不安な場合は「1枚だけ実行」としてもいいでしょう。

　保存するフォルダーを開き、ファイル名を指定して保存します。ファイルの種類は空欄で構いません。

　保存先のフォルダーを開いてみると、画像が保存されていることがわかります。全ての画像を保存するにはかなり時間がかかりますから暫く待ちます。全部で128個の画像が保存されます。

　2時間40分かかって保存が完了しました。

　並び替えを「日付時刻」「昇順」としてウィンドウの幅を調整すれば、順番通りに画像が表示されて分かりやすくなります。

　ここまでの操作でモザイクアートの画像データは完成しました。以下にHTML形式のテーブルにまとめてみました。画像のクリックで実サイズの画像が表示されますから確認してみてください。一見すると写真のように見えますが、実サイズで表示すると色鉛筆画像の組み合わせで作られていることがわかると思います。

　作成開始から3日目です。3日間で画像データの作成まで完了しました。

　本章はここまでです。次章ではこれらの画像データを印刷します。

印刷して完成

　インクジェットプリンターで印刷して並べてみました。

　一コマのサイズをもっと大きくしたほうがよかったと思います。一コマのサイズが小さすぎて色鉛筆で塗った画像であることがわかりません。 色鉛筆のタッチが分からないというかですね、色鉛筆で塗った線が見えないのです。 正直なところ今一つの出来栄えですね。これでは写真を引き伸ばして印刷した結果、ギザギザの写真になっちゃったのと変わりません。

　一コマのサイズを大きくするには、 デジカメまとめてフォトモザイクの設定で、「一コマの画像サイズ」を大きくするか、 モザイクアートポスター工房の設定を変更し、「分割画像一枚あたりのコマ数」を減らせばよいです。

ポスター分割のやり直し

　折角印刷したのですが、出来栄えが気に入らないのでポスター分割をやり直すことにします。 一コマのサイズが小さすぎるのですよ。一コマのサイズが！。

　一コマのサイズを大きくするには、 デジカメまとめてフォトモザイクの設定で、「一コマの画像サイズ」を大きくするか、 モザイクアートポスター工房の設定で、「分割画像一枚あたりのコマ数」を減らせばよいです。 前者の場合、出来上がるモザイクアートのサイズは変更せずに、一コマのサイズを大きくすることができますし、 後者の場合、出来上がるモザイクアートのサイズも大きくなり、全体的に拡大された形になります。 今回は、後者を選択します。

　もう一度、モザイクアートポスター工房でフォトモザイク画像とコマ画像を開きます。

　

　「設定」画面を開き、「幅方向のコマ数」を20、「高さ方向のコマ数」を28とします。 これでポスター分割してA4用紙に印刷すれば、一コマが1センチぐらいになるはずです。

　「編集」「全範囲実行」とします。

　ポスター分割した画像ができました。1200枚の画像になりました。

　HTMLのテーブル形式で表示したものが下図になります。 白い枠に囲まれた部分が1枚の画像になっており、クリックで拡大表示できます。 これをA4用紙に印刷すれば、一コマ一コマを色鉛筆で塗ったのだなと分かるでしょう。

　これ全部を印刷することは出来ないので、下図の赤枠の範囲を印刷してみます。